までの川の上流などの冷水域に生息する。サクラマスには、成長とともに海に下る「降海型」のサクラマスと、河川にとどまる「陸封型」の個体があり、陸封型のサクラマスがヤマメである。
ヤマメは、北海道、東北地方では「ヤマベ」とも呼ばれる。2年魚でも全長は20cm程にしかならないが、ダム湖などに下り再び遡上してくるものは40cmに達するものもいる。秋期に河川上流域で1腹200粒ほどの産卵をするので、保護を目的として、漁協や県などの自治体などが管理する河川では10月以降が禁漁期間となっている。
体の側面に上下に長い「木の葉・小判状」の斑紋模様(パーマーク)があるのが特徴で、成長とともに次第に薄くなり、30〜40cmクラスになると一般には、サクラマスのような銀色に近い魚体となるが、九州熊本県の沢においては大形ながら、紅みを残した魚体(通称・紅ヤマメ)が地元の釣り人に確認されている。
繁殖期になると、体全体が黒っぽくなり、また薄い桃色から濃い紅色までの婚姻色が体側からヒレなどに不定形に表れる。
イワナと同様現在一般に各地で見られるヤマメは、その多くが養魚繁殖魚を放流したものであり、これがその地域に本来生息していた個体と混血し、純粋な地域型個体が残っている河川はかなり少ないと考えられている。また、アマゴの生息域にヤマメが放流され、ヤマメに置き換わっている水域や逆にヤマメの生息域にアマゴが放流されアマゴに置き換わっている水域や在来種のイワナなどとは、自然状態で交雑が行われており、雑種が生息している地域があり問題となっている。イワナの精子や卵子をヤマメに移植交配させることでイワナを産ませる実験が成功している。
全長は約40センチメートル程度が一般的だが、大きいものは60センチメートルから1メートルにまで成長することもある。基本的には、一生を淡水で過ごす陸封型の魚。夏でも水温が摂氏12度以下の冷たい水、特に流れが速く、酸素を多く含む川に生息する。冷水の湖などにも生息する。熱帯地域にも移入されたが、これは標高1200メートル以上の高地である。肉食性で、水生昆虫や貝類、甲殻類、他の魚の卵や小魚などを食べる。
繁殖時期については、秋から冬にかけて繁殖行動を行なう集団・個体と、春から初夏にかけて繁殖行動を行なう集団・個体に分かれている。生まれてから2–4年目の間に成熟する例が多く、他のサケ属の魚(シロザケなど)とは違い、成熟後は1回の繁殖行動では死なず、数年にわたって繁殖行動を行なう。
一方、ニジマスは海水適応が可能な種として知られている。なかには汽水域や海に下る個体もいて、他のサケ類のように海を回遊し、河川への遡上を行う。降海型の個体は、特に大きく成長しやすく、全長1.2メートル、体重25キログラム程度の記録もある。頭部上面が黒っぽくなるので、日本ではテツ、英語ではスチールヘッド (Steelhead) などと呼ばれる。この個体が産地周辺の川を遡上することがある。
食味や養殖効率をあげるため、ドナルドソンやクイーントラウト、ヤシオマス、ベニマス等、選抜育種や染色体操作などの品種改良により、ニジマスを元に多くの品種が人為的に開発されている。また、養殖魚の中には、アルビノニジマスやコバルトニジマス、ホウライマスなどのような、体色が突然変異したニジマスもある。これらは、観賞魚としても飼育され、一部はペットショップや観賞魚店(熱帯魚店)などでも販売されている。
成魚の全長は30cmに達するが、地域差や個体差があり、10cmほどで性成熟するものもいる。若魚は全身が灰緑色で背鰭が黒、胸びれの後方に大きな黄色の楕円形斑が一つある。秋に性成熟すると橙色と黒の婚姻色が発現する。口は大きく目の下まで裂けるが、唇は柔らかい。歯は丸く、櫛(くし)のような構造である。
種としては北海道・朝鮮半島からベトナム北部まで東アジア一帯に分布する。このうち奄美大島に分布するものは別亜種のリュウキュウアユ P.
altivelis ryukyuensis
として分類されており、体型がずんぐりしていること、背鰭が長いこと、鱗が大きいことなどで区別される。沖縄本島では1980年代にリュウキュウアユが絶滅したが、奄美産のものを1992年より放流している。
また滋賀県・琵琶湖には、湖沼陸封型のいわゆる「コアユ」が生息する。琵琶湖内で成長し、秋に湖に流入する河川に遡上して産卵・受精を行う。
日本では、1987年にアユの冷水病が確認された。